2022年の初めに、デジタルヒューマン市場に何が起こるかについて、最初の予測を立てました。しかし、1つだけ事前に盛り込むべきだったことがありました。それはこのテクノロジーをめぐる科学的研究の増加です。

アナリスト、研究者、科学者など、さまざまな人々や関係者が、綿密な調査によってデジタルヒューマンの価値を見極めようとしている最中です。

紙ナプキンの裏に書いたメモから始まった技術で、まだ未熟ではありますが、このような研究が進んでいくことはエキサイティングなことでもあります。

デジタルヒューマンは、2030年までに5280億ドルの市場になると言われており、このような研究はブランド体験の未来を理解する上で重要になります。そこで、あなたが見たことがないであろうデジタルヒューマンに関するエキサイティングな研究を、3つ紹介したいと思います。

1. バーチャルヒューマンのインフルエンサーはブランドにとって効果的 – 対話性は未開拓

有名人の推薦、アンバサダー、インフルエンサーがマーケティングで非常に人気があることは周知の通りです。しかし現在、 バーチャルなインフルエンサーやアンバサダーの役割に関する研究が進み、 デジタルファーストの世界では、これらの人々は本物でなくても実際に効果を発揮できることが明らかになりつつあります。

Laila Zhongnの研究Xi’an Jiaotong-Liverpool大学メディアコミュニケーション学部)では この現象をさらに詳しく調査しました。 この定性的研究では、IKEAの従来の広告とバーチャルアンバサダー、Immaを起用した広告に対する人々の感情を分析しました

この結果は、エンゲージメントの向上を目指すブランドマーケターにとっては、耳の痛いものでしょう。研究者は次のように述べています。

“ソーシャルメディア上でバーチャルインフルエンサーの知名度が高いほど、彼らの支持する広告の閲覧数や、いいね、コメント、シェア数が増え、視聴者の顧客ブランドエンゲージメントが強くなります。”

またインタラクティブ性がより大きなマーケティングエンゲージメントにつながることもわかりました。

“広告がインタラクティブであればあるほど、視聴者の愛着や帰属欲求を満たすことができ、顧客ブランドとのエンゲージメントがより強くなります。”

この研究結果は会話型AIであるAlbert Einsteinをバーチャルアンバサダーとして採用した当社独自の Digital Einsteinのケーススタディ重なります マーケティングキャンペーンにDigital Einsteinをインタラクティブに使用したところソーシャル広告のクリックスルー率が5倍になるなど、マーケティングファネル全体の指標を改善することにつながりました。

こうしたインタラクティブな体験の力を知ると、会話型AIを通じて双方向の対話を行う能力があるバーチャルインフルエンサーが増えた時に、エンゲージメント率がどのように進歩するか 、現在や今後のメタバースにおいても興味深いところです。

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2. 患者の治療同盟の構築が可能に – うつ病やヘルスリテラシーへの影響

ヘルスケア業界は、デジタルヒューマン技術の先駆者の1つであり、近年、「非人間的」エージェントを使用して、患者とのより良い関係づくりに役立ててきました。

その目的は多くの場合「治療同盟」、つまりAIアシスタントと患者の間に強い関係を築き、信頼、医療順守、そして最終的には治療の成功のために良い環境を作ることにあります。

デジタルヒューマン(または類似の非人間エージェント)が、この同盟を構築できるかどうかは重要な問題になります。 うつ病の症状を持つ病院患者による関係エージェントへの対応は、まさにその問題を調べた研究です。

研究者たちは、初歩的なアニメーションで看護師、Elizabethを作り(ここでは「関係エージェント」と呼ぶ)、患者の退院計画について面と向かって話し合うことができるようにした。この研究は、米国人口の約15%が罹患している健康問題である、うつ病の患者を対象としている。報告書では、次のように述べられています。

“本研究の主要な発見は、うつ病の症状を持つ患者が、治療同盟についてエージェントを有意に高く評価したことです。うつ病患者にとっては、関係エージェントを受け入れ易いだけでなく、やり取りを継続したいという強い願望がありました。そして、うつ病の症状がない患者と比較すると、エージェントとの間にはより強い感情的な絆ができたと感じていることがわかりました。”と報告しています。

さらに、大多数が、実際の医師や看護師よりも、アバターから退院情報を受け取りたいと回答しています。前者の方がいいと答えた患者は、わずか24%でした。ある参加者はこう言っています。

“看護婦はただ紙を渡して「はい、どうぞ」って言うだけだったりしますから。Elizabethはすべてを説明してくれます。”

最後に、 健康リテラシーが不十分な患者は、 デジタルエージェントとの治療同盟が有意に大きいと報告しました。 また、このような医療サービスが不十分でリスクの高い人々は、十分な健康リテラシーを持つ人々よりも、人間ではない看護師に多くの質問をしたそうです。Elizabethのようなエージェントは、うつ病のケースに限らず「ケアへのアクセスにおける格差の縮小に役立つ可能性がある」と研究者は説明しています。

3. 家庭は心のよりどころ – 会話型AIはホームアシスタントの未来?

デジタルヒューマンの使用例として (今のところ)あまり詳しく検討されていないのが、ホームアシスタントとしての潜在的なキャリアです。「Blade Runner 2049」のJoi 、「HER」のSamantha、 2001年に公開された「A Space Odyssey」のHALなどはフィクションの世界で検討された人間型AIの最初のアイデアの1つでしたが うまくいかなくなってしまったのです。

これまでのところ、AIホームヘルパーのコンセプト は、Alexa、Siri、Googleなどの音声アシスタントの領域しっかりと収まっています人々が同様にデジタルヒューマンを家庭に受け入れるかどうかは、小売店、ホテル、ヘルスケア、メタバースのバーチャル世界など、生活の他の側面でデジタルヒューマンを受け入れるかどうかの強力なバロメーターになります。

Spyros Papadatosの論文「ホームオートメーションアシスタントにおけるIoTとクラウドサービスの統合」では、人々がデジタルヒューマンを家庭で歓迎するだけでなく、好むようになることが示唆されています

最初の重要な発見は、音声のみのアプリケーションと比較して、デジタルヒューマンが圧倒的に好まれていることでした。

また「音声アシスタントだけでなく、デジタルヒューマンのアバターと対話することは好きか」という質問に対して、95.2%が「はい」と回答しています。

この調査では「将来、ホームオートメーションとデジタルヒューマンのエコシステムと再び交流したいか」という質問も行いました。

その結果は「間違いなく」(52.4%)、「そう思う」(23.8%)、「そうかもしれない」(19%)と、大多数の回答者が肯定的に答えました。

この結果からは、音声アシスタントは消費者の「マインドは掴んだ」が、まだ「心は掴んでいない」ということ示しています。つまり家庭の中にもっと「人間らしさ」を取り入れる余地があるということです。

最後に、UneeQ Creator使用してデジタルヒューマンホームアシスタントを作成し、論文も共有して頂いたSpyros Papadatos氏に感謝申し上げます。