テクノロジーは、ビジネスが消費者とコミュニケーションをとる方法を変えてしまいました。今日のテクノロジーとともに、新たな顧客像が生まれています。

保険業界や引っ越しの見積もりのなどの「10社の見積もりを一括で出来る」ウェブサイトのように、サードパーティのウェブサイトが、消費者のために当座預金のお得な情報を集約したらどうなるでしょうか。

それは誰の顧客となるのでしょうか? そしてそれがアプリだった場合はどうでしょうか?

昔はとてもシンプルでした。顧客は回転ドアを通って銀行に来て、口座を開設したり、店頭で融資を申し込んだりしていました。銀行は通常、顧客との関係を構築しており「でしたら是非、当銀行のマネージャーに相談してください」というのが一般的な言葉でした。

Forrester(フォレスター社)がAmazonの数千万人の顧客を取り巻くAmazon’s customer relationship ecosphere(アマゾンのカスタマー・リレーションシップ・エコスフィア)と呼んでいるものがあります。

Forresterは同社のCMOに、「Amazonから学び、Amazonの真似をする」よう指示していますが、「Amazonが、あらゆるサービスの利用に影響を与える、居心地の良い繭の中に顧客を包み込んでいるように、徹底的に設計されていなければならない」とも述べています。

今日の銀行の環境では、顧客とのつながりを手に入れることはできますが、顧客との関係をどのようにして自分のものにすることができるのでしょうか?

銀行とフィンテックの出会い

現在、フィンテック分野への投資は”投資のホットチケット”と見られています。EY FinTech Adoption Indexの2015年版では、フィンテックはまだ黎明期にあると推定されていましたが、2017年版では採用率が3分の1にまで劇的に上昇していることがわかりました。

しかし、デジタルスタートアップやフィンテックへのファーストラウンド投資が増加しており、銀行におけるデジタル革命が確実に到来していることは明らかです。他にも銀行の過度な影響を逃れるために表に出ていないフィンテック企業があります。

フィンテックが出来ること

Deloitte社(デロイト・トウシュ・トーマツ)の報告書「銀行業務の混乱」では、欧州のリテール銀行の将来はかなり厳しいものになっていると指摘されています。

金融危機の後遺症と現在進行中の再規制の揺らぎに揺れる一部の銀行は、今日の「脱銀行を目指す消費者」の脅威に直面しています。英国のOpen Banking(オープンバンキング)は、価格の改善と口座切り替えの促進を目的に、英国の大手銀行9つの銀行に対し、顧客の同意を得た上で顧客データを第三者に公開するよう要求しています。

このような段階的な変化を受けて、シリコンバレーではイノベーションへの意欲が高まっています。

主流の銀行業務にアクセスできるようになったことで、Amazon、Google、Facebookのような巨大企業は、顧客により良い、より統合された金融サービスを提供することができるようになるでしょう。

WhatsAppのようなプラットフォームでは、インスタントメッセージを使って現金を送金することができます。

銀行のアプリでは何層にもわたる認証プロセスが必要ですが、こういった決済プラットフォームはこれとは対照的です。金融取引だけでなくOpen Banking(オープンバンキング)はサードパーティのサービスを統合し、ライフスタイルの選択をより迅速かつ容易にすることができるようになります。

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デジタル化による新たなタイプの顧客の出現

従来のリテールバンキングのサイロ化が進み、より個人に特化した自主管理型の財務管理への道が開かれつつあります。

今日の顧客は、小売店と直接、即座に関わりを持つことを求めています。ニーズは単に満たすだけでなく、発生する前に予測することが求められており、サービスは流動的で直感的なものでなければならず、顧客のライフスタイルの延長線上に統合されたものでなければなりません。

これまでの銀行は、インターネットを利用し、課題に対応するために小規模な変更を行うことができました。しかし、今日のデジタルにおける混乱と順次行われる規制は、銀行がかつて享受していた競争上の優位性を削ぎ落としてしまうほどの変化の津波をもたらしています。

Deloitte社はこのように述べています。「課題は新規参入者やモデルが現れて、市場を支配することではないと考えています。むしろ、銀行のエコシステム全体の攻撃者の組み合わせによって、銀行のコアとなる競争優位性が着実に損なわれ、結果として銀行部門が大幅に縮小するというリスクがあるのです。」

競争力を上げるには価格を下げるのみでなく、カスタマーエクスペリエンスの再発明が必要

銀行が競争に勝ちたいのであれば、顧客との関係性を勝ち取らなければならなりません。もし彼らがその関係性を自社のものにしていなければ、それは競合他社が所有することになるでしょう。

差別化を図ろうとする最善の意図があっても、顧客との関係に投資しなければ、価格でしか競争できず、最終的にはコモディティになってしまいます。カスタマーエクスペリエンスの再発明が重要です。

すべてのチャネルでカスタマイズされ、卓越した顧客体験は今後の銀行業界での戦場で、顧客に対し優位なポジションに立つことが出来ます。これは、フィンテック業界そのものを牽引することになるかもしれません。

UneeQは、銀行がラットレースから抜け出すために、短期的な収益性の最適化に十分な時間をかけて、将来の不確実性とイノベーションを緩衝することができる長期的なビジョンを検討することを勧めています。

実際、銀行の将来は不明瞭であり、フィンテックがルールを書き換えようとしているのは事実です。しかし、人間同士の関係という不変の力を捉え、顧客体験を大切にすることができればできるほど、混乱に打ち勝つチャンスは大きくなるでしょう。

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